気づきの瞑想? その3

気づきの瞑想、その代表的瞑想が四念処観ですが、このごろはYouTubeでも指導動画がアップされるなど、注目されていす。

仏教の瞑想修行に興味をもたれるかたは、とにかく、テクニックをはやく知りたがるわけです。そこで、YouTubeでということなんでしょうか。指導者の側は、じつはこれ、とても危険なことだという認識はされていらっしゃるのでしょうか? 

たとえば、身念処の不浄観ですが、いきなりやったら、マジでうつ病になりかねません。また適齢期の真面目な若者がやったら男女交際に抵抗を持つようになりはしませんかね。ひいては出生率にも影響するのではないでしょうか。

仏陀の修行法というのは、師匠なり阿闍梨などが、弟子の機根に応じて慎重に授けるもので、YouTubeで公開するなどということは、本当に危険だと思います。

阿含経にこのような経典があります。

阿含經卷第二十九(八〇九)

時諸比丘。修不淨觀已。

極厭患身。或以刀自殺。或服毒藥。或繩自絞。投巖自殺。或令餘比丘殺。

なんと不浄観を熱心に取り組みすぎて、自殺者が出たのです。また、天魔にそそのかされて自殺幇助をするバラモンまで出現しました。

そこで仏陀

阿難。何等爲微細住多修習。隨順開覺。已起未起惡不善法。能令休息。謂安那般那念住。

阿難よ、微細住を多く修習し、隨順に開覺すれば、すでに起きた悪不善の法をよく休息せしむ。所謂、安那般那の念に住するなり

と呼吸法を教えました。

もちろん仏陀は、四念処をいきなりやりなさい、なんてことは説いていません。こんなことにならないように、四念処観は、

 雜阿含經卷第二十四(  六二四)

佛告欝低迦。汝當先淨其戒。直其見具足三業。然後修四念處。

佛、欝低迦に告げたまわく、『汝、まさに先その戒(習慣)を浄め、その見を直して、三業(身口意の三業、いわゆる十善業)を具足すべし。しかるのち、四念処を修習せよ。』

ちゃんと、習気のような悪因縁を浄め、正見(正しい価値観)を持ち、十善業がきちんと修められるようになったら、四念処観を実習しなさいと説いています。

悪因縁を浄めるだけでも、大変、熱意と時間のかかる修行です。なので四念処観がどれほど高度な瞑想法か、おしてしるべきでしょう。いたずらに文字や、言葉、まして動画などから真似するものではありません。また教える側の見識も疑います。